介護施設の類型
高齢者を対象とした介護施設や賃貸住宅は、多くの種類があります。施設の特徴を把握し、利用者の介護度や健康状態にあわせて介護施設を選ぶことが必要です。
有料老人ホーム
入居一時金が高額というイメージがありましたが、最近では消費者の所得を考慮して、利用料金を抑えたもの等、さまざまです。介護付、住宅型、健康型という3種類があり、終身介護に対応する施設から健康な方のみを対象とするところまで、その入居条件もさまざまです。
サービス付き高齢者向け住宅
平成23年に「高齢者住まい法」改正により、誕生したのがサービス付き高齢者向け住宅です。有料老人とは異なって賃貸借契約となるため、入居一時金という名目の費用は必要なく、代わりに敷金・礼金がかかります。その他、月々の利用料として家賃・管理費・食費・水道光熱費・生活サービス代金などが必要になってきます。サービス付き高齢者向け住宅では、バリアフリー構造や安否確認・生活相談サービス等の高齢者の毎日の暮らしをサポートする体制が義務付けられ他、長期の入院を理由に解約できない等、居住の安定が図られています。
グループホーム
施設所在地と同じ市区町村にお住まいの方が対象となる、地域密着型サービスのひとつ。主に認知症の高齢者が1ユニット(5~9人以下)で共同生活をする集団生活型の介護施設です。グループホームは地域密着型サービスの一つとなるため、施設と同じ市区町村内に住民票がある方が入居対象になります。なお、入所の際には審査が必要になり、面談や診断書から本人が入所基準を満たしているかどうかを判断しています。
経費老人ホーム(ケアハウス)
軽費老人ホームA型(食事付き)・B型(食事なし)、そしてケアハウス(C型)の3種類があります。身寄りがない、または、家庭環境や経済状況などの理由によって、家族との同居が困難な方が「自治体の助成を受ける形」で、比較的低額で入居できる施設です。基本的には健康な方が入居対象となるため、入居中に介護が必要になったり、病気による長期的な入院が必要になったりした場合には、退去させられるケースもあります。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、社会福祉法人や地方公共団体が運営する公的な高齢者居住施設です。有料老人ホームと比較すると低料金で利用できますが、心身の状態が悪化して寝たきりの状態となっても退去する必要がないことから、多くの施設で200~300人の待機者がいるのが現状です。入居の申請先は、お住まいの各自治体です。申込みは順番ではなく、老人福祉法第15条第6項の規定に基づき、入所検討委員会の審査を経て、入所判断を行なう為、入所の必要性の高い方から優先される為、長期間待機となるケースが多く見られます。
養護老人ホーム
養護老人ホームとは、身体的・精神的な理由をはじめ、経済的な理由や家庭環境などによって、自宅で生活ができないと判断される、自立した高齢者を受け入れる社会福祉施設です。社会復帰の促進のため、また自立した生活を送れるようになるための、必要な訓練などが行われています。生活保護法の元に定められた養老施設が成り立ちのため、主に経済面で生活に困っている方が入居の対象となっています。各市町村が行う審査の結果により、必要性の高い方から優先的に入所できるようになっています。
老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(別称:老健)とは、医療法に基づき、病状が安定期にある要介護者に対し、医学的管理のもとに介護その他の世話や必要な医療を行う医療法人や社会福祉法人などが運営する公的な介護施設で、主に医療ケアやリハビリを必要とする重度の要介護状態の高齢者(65歳以上)を受け入れています。食事や排泄の介助などの介護サービスは提供されるものの、介護老人保健施設でのサービスはあくまでも在宅復帰を目的としたもので、提供されるのは自宅などに戻るためのケアです。そのため、特別養護老人ホームのように終身制ではなく、入所期間である3ヶ月ごとに退所あるいは入所継続の判定が行われ、検討会議で退所可能であると判断された場合には、退所しなくてはなりません。施設長は医師免許を持ったお医者さんであることが必須条件です。これは介護老人保健施設の大きな特徴であり、入所している間は施設長が利用者のかかりつけ医となります。
介護療養型医療施設(療養病床)
介護療養型医療施設(別称:療養病床)とは、医療法に基づき、病状が安定期にある要介護者に対し、医学的管理のもとに介護その他の世話や必要な医療を行う主に医療法人が運営する医療施設で、特別養護老人ホームや介護老人保健施設よりも重度の要介護者などを受け入れています。施設では食事や排泄の介助などの介護サービスは提供されるものの、介護療養型医療施設はあくまでも医療機関であり、提供されるのは本来、急性疾患からの回復期にある寝たきり患者に対する医学的管理下のケアが中心です。そのため、特別養護老人ホームのように終身制ではなく、状態が改善してきた場合には、退所を求められることもあります。厚生労働省は2011年度末にこれを廃止し、他の介護サービス事業者の介護保険施設へ転換する方針を明らかにしています。
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